風化が顕著な砂岩の石積み補修方法
- 杉山信二
- 2022年11月26日
- 読了時間: 2分

風化が顕著な砂岩の石積みは風化の度合いによりますが築造から40年程度で崩壊するものもあります。
風化の速度は10年で数ミリから数センチと言われていますので早目に対処することで安定した状態をより長く維持できると考えられます。

今回のブログはその風化防止を主とした補修方法をご紹介します。

モルタルを全面に塗る工事となるため、水抜きパイプの設置が必須となります。
作業は、削岩機により内部の透水層となる裏込め石部分まで削孔します。

耐久性を考慮して肉厚のあるVP管を使用し、その先端に吸い出し防止材を設置します。吸い出し防止材は背面の土砂等の流出を少しでも少なくするために設置することが必要だと考えます。
擁壁の基準では70mmのパイプを3㎡に1箇所設置するのが基準ですが、積石を削孔する必要があるので50mmのパイプを2㎡に1箇所設置することで極力石積みにダメージを与えないようにしています。


石積みとモルタルを一体化するために挿筋を設置します。この作業を行わない場合は後にモルタルがずれたり剥がれたりすることが予想されるため必要な作業だと考えています。

砂岩の風化した部分は高圧洗浄により除去して下地処理剤を塗布します。

直線的にモルタルを塗る場合は収縮による亀裂が入る可能性が極めて高いため目地を一定間隔で設けます。
モルタルの厚さを8cmに設定しているのは、5cm以下では亀裂の発生の可能性が高いことや8cmまでであれば左官による作業が予算的にも可能な範囲で出来ること。また、厚みがある方が石積みの風化防止効果が高いことなどを総合的に考慮して決めた厚さです。

でも実際には左官作業によるモルタル塗りで8cmは結構大変です。

何度も何度も重ね塗りをします。


モルタルの厚さ8cmの中間部分(4cm程度)にワイヤメッシュを設置します。
これはクラック防止と数値的には出せませんがモルタルの面としての強度を上げるために設置する作業となります。
直線的に設置できるため、弊社ではラス金網よりも引張強度により有効と考えられるワイヤメッシュを設置することにしています。

更に幾度もモルタルを塗り重ねます。

厚さ8cm以上になると表面仕上げを行います。


最後に清掃を行って作業終了です。
かなり手間のかかる方法ですが風化が顕著な砂岩の石積みには最良の方法だと考えています。
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